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「磁性体微粒子」で水浄化 信大助教ら開発、企業と連携し実用化へ

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 信州大工学部(長野市)の岡田友彦助教(材料化学)と三島彰司教授(触媒化学)は共同で、水に含まれる有害な金属イオンを吸着する「磁性体ナノ微粒子」を開発した。微粒子内部にコバルトや酸化鉄を含み、金属イオンを吸着した状態で磁石で簡単に集められるのが特徴。汚染水の浄化作業が効率的になることが期待され、環境汚染が深刻な新興国などでの「水処理ビジネス」に活用できる可能性がある。実用化に向けた研究を継続中で、素材の量産に向けて県内外の企業との連携を図る考えだ。  関連技術の論文が今月上旬、英国化学会の材料化学専門紙に掲載された。研究成果は、3月4日に工学部キャンパスで初めて開く「信州大学見本市」で発表。見本市は、信大の研究者が技術開発の手掛かりになる124のテーマを紹介して「県内企業との協働につなげる」(実行委員会)狙いで、岡田助教らもこの場で企業との接点を探る。  浄水設備の整っていない新興国などでは、工場排水などで河川が汚染される例が少なくない。岡田助教らが開発した微粒子は、汚染物質のうち鉛イオンや亜鉛イオンの吸着を想定する。岩石や土中に存在する化合物「シリカ」製の球状カプセル内に、コバルトなどが入った構造。大きさは直径1マイクロメートル(千分の1ミリ)程度で表面には分子レベルの特殊な膜が形成してあり、鉛イオンなどと反応する。  コバルトなどは磁石にくっつく性質があり、強力な磁石を使えば水中に散らばった微粒子を簡単に短時間で集めることができる。コバルトはそのままでは水に溶けて性能を失う可能性があるが、シリカカプセルに封入することで水中でも使える。また、微粒子に付着した金属イオンを塩酸で洗えば何度も使えるという。  岡田助教によると、微粒子の製造方法などに関する特許は信大として出願済み。岡田助教は「実用化に向け、効率的で安価に微粒子を量産することが必要。ノウハウを持つ企業と連携して、実用化を目指したい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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