下伊那郡豊丘村公民館は3月2日、村社会教育施設の建設に伴い、近く取り壊される村福祉センターの「お別れセレモニー」を開く。センターは公民館活動の拠点として利用されてきたほか、結婚式場の役割を果たしていた時期があり、式を挙げた夫婦は397組に上る。セレモニーには公民館の利用者に加え、夫婦約30組にも参加してもらい、思い出を語り合ってもらう。 村公民館によると、1969(昭和44)年12月に同村神稲(くましろ)に完成した村福祉センターは鉄筋一部3階建て702平方メートル。結婚式での利用を見込み、神棚を設けた部屋(20平方メートル)は「結婚式場」と呼ばれ、ステージ付きの大ホール(231平方メートル)は披露宴会場としても使われてきた。 結婚式での利用は、村内だけでなく同郡高森町や喬木村などからもあり、70年には最多の32組を数えた。その後も年10組以上が挙式した。豊丘村婦人会などでつくる実行委が大ホールの飾り付けや食事の配膳などを担ったという。 だが、近隣に結婚式場ができたことや、実行委員の高齢化などから利用は徐々に低迷し、89年11月の1組が最後となった。式場だった部屋は研修室、新郎新婦のお色直しに使われた大ホール裏の和室は小会議室と改称された。建築から40年余を経て建物も老朽化したことから、社会教育施設への建て替えが決まった。 取り壊しを前に結婚式場だった当時を振り返ろうと、セレモニーが企画され、式を挙げた夫婦を招待することになった。78年2月に式を挙げた大倉淳司さん(60)=豊丘村河野=は「以前は多くの人が村福祉センターを結婚式場として使った。派手さはないが、多くの人に支えられた手作りのいい式だった。セレモニーでは懐かしい話ができたらいい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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