中国など海外の生産拠点の人件費の上昇や4月の消費税率引き上げを背景としておもちゃの値上げが相次ぎ、子育て世帯や愛好者らから「手軽に買えなくなってしまわないか」と懸念する声が出ている。メーカー側は「価格を抑える努力をしてきたが、これ以上は難しい」と理解を求める。おもちゃ店からは「ますます売りにくくなる」との嘆きも聞かれる。 ミニカーの人気シリーズ「トミカ」の価格が今年2月、一部商品で23年ぶりに上がった。販売するタカラトミー(東京)によると、生産国のベトナムや中国で人件費が上がり、亜鉛合金など原材料も高騰しているためで、約120種類は税別の希望小売価格360円を450円にした。同社の広報担当者は「消費税率の引き上げも意識して価格設定した」と説明する。 仮にこの先、消費税率が10%になった場合でも税込み495円となり、500円玉1枚で買えることから、小売店側には「ワンコイン以内に価格を収めてくれた」との受け止めもある。 「これからはちょっと考えちゃうかもしれません」。長野市のながの東急百貨店のおもちゃ売り場でトミカを選んでいた中野市の公務員岩井慎一郎さん(40)は苦笑した。長男桜之介君(6)のトミカは祖父母からの土産などで現在100台ほど。「値上がりは気持ちの上で影響が大きい」と話す。 1万台余を所有し、愛好者の会員制交流サイトを開設している上田市の会社員竹下治彦さん(45)は「今後はスポーツカーや建設機械などジャンルを絞るコレクターが出てくる」と予測する。 このほかのおもちゃでは、メガハウス(東京)は昨年8月、立体パズル「ルービックキューブ」の価格を税別1980円から2200円に引き上げた。値上げは1980年の発売以来初めてだ。 バービー人形などを扱うマテル・インターナショナル(東京)は、モデルチェンジの少ないディズニー関連の人形や馬車のセットを2月から、税別3500円から3600円に引き上げるなど、26点を2~20%ほど値上げした。バービー人形自体は服の柄や形の変更などで12年に100円値上げして900円にした。 両社とも生産拠点となっている海外の人件費上昇を挙げる。値上げに当たっては、5%から8%への消費税率アップに伴う仕入れ負担分も考慮したという。 こうした動きに、松本市の大型店のおもちゃ売り場担当者は「多少の値上げなら、それほど影響はないのではないか。売れ行きがどうなるかは4月にならないと分からない」と説明する。小諸市の小売店は「価格が上がり、子どもがお小遣いで買いにくくなっては困る」とこぼす。(長野県、信濃毎日新聞社)
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