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よみがえる松本藩の藩校教育 初学者向け教科書、松本の書店が保管

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 明治時代初期まであった松本藩の藩校「崇教館」で使われた初学者向けの教科書とみられる「幼学」が、江戸時代から続く松本市中央2の書店「高美書店」に残っていたことが5日、分かった。市立博物館などによると、崇教館の関連史料を収めた市中央図書館の「崇教館文庫」や信州大(本部・松本市)にもないという。藩士の子弟への教育の一端が分かるほか、当時少なかった木製の活字で印刷されている。専門家は貴重な史料と評価しており、市民の関心を集めそうだ。  崇教館で教えた同藩の儒学者木沢大淵(天童、1765~1819年)が、崇教館が創設されたという1793(寛政5)年11月に刊行したことが前書きに記されている。B5判ほどの大きさで36ページ。2冊あり、店主の高美正浩さん(70)=松本市=によると、10年以上前に史料を整理して見つけた。高美さんの祖先が幕末に崇教館に出入りしていた記録がある。  本文は曲礼(きょくらい)や詩経、孝経など中国の古い書物から抜粋して引用。「身体髪膚(はっぷ)之ヲ父母ニ受ク、敢ヘテ毀傷セザルハ孝ノ始メナリ、身ヲ立テ道ヲ行ヒ名ヲ後世ニ揚ゲ以テ父母ヲ顕スハ孝ノ終リナリ」など親孝行の大切さを説いた言葉などが並ぶ。末尾は、当時著名だった愛知県出身の儒学者細井平洲(1728~1801年)が書いている。  山本英二・信州大人文学部教授(近世史)は「素読のための初学者向けテキストで、極めて保存状態がいい」と評価。同書店に残る古文書を長年調べている中央大文学部の鈴木俊幸教授(近世文学)は「木沢の史料は知られていない」とする。文字を板に彫る版木ではなく、使い回しの利く活版印刷用の字型を使っている点に「木活字が主流になっていく先駆けの時期の史料だ」と位置付けている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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