大町市の大町高校敷地内で昨年行われた発掘調査で、15世紀のものとみられる約5万粒の炭化した麦が見つかった。10日に市文化財センターが発表した。この時代には、出土場所の北約300メートルに大北地方一帯を支配した豪族仁科氏の居館があったことが分かっており、センターの島田哲男所長は「(出土場所に)仁科氏の穀物倉庫があった可能性が高い」としている。 センターによると、炭化した麦が大量に見つかった例は県内では珍しく、大北地方では初めて。 センターによる発掘調査では、六つの住居と三つの竪穴式建物の跡が確認された。このうち、火事の痕跡がある竪穴式建物の跡で集めた土をふるいにかけたところ、麦が見つかった。ふるいにかけた土はまだ半分程度で、麦は最終的に10万粒ほどになるとみられている。 竪穴式建物の跡からは、炭化したアズキや縄も見つかった。島田所長は「中世の竪穴式建物跡は多数見つかっているが、用途が分かっている例は少ない。穀物倉庫と分かれば貴重」と話している。炭化した麦や縄は4月中旬に公開する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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