お世話になった先生方に草木染の贈り物を―。伊那市高遠北小学校の6年生12人が10日、通学路にある並木のタカトオコヒガンザクラの葉で木綿の布を染めた。昨年4月から総合的な学習の時間で地域の人に教わり、草木染を学んだ。19日の卒業式までにランチョンマットに仕上げ、感謝の手紙とともに教職員に手渡す予定だ。 高台にある同校近くの通学路は「登校坂」と呼ばれ、約100メートルにわたってタカトオコヒガンザクラの並木道になっている。全校児童が毎年秋に落ち葉を集めて堆肥を作り、校内で花や野菜を栽培。6年生は昨年10月に集めた落ち葉を草木染に使おうと、校舎内で乾かして保存していた。 総合学習の草木染は、学校近くに染め物などの工房を構える元高校教師藤沢直彦さん(69)が指導。タマネギの皮や学校で育てたマリーゴールドの花でハンカチなどを染め、色合いや柄の出し方は児童が工夫した。 この日は、調理室で桜の落ち葉から取った液体に布を浸して熱する「煮染め」をした。児童が裁断して周囲を縫った布は横50センチ、縦35センチで、自分たちの12枚と教職員に贈る15枚を用意。藤沢さんに教わり、液に浸しては水で洗う作業を数回繰り返した。 煮染めした布は、液に浸したまま一晩冷やしてから洗うときれいに染まるという。ランチョンマットは包装し、児童が教職員一人一人に届けるという。 草場日和(くさばひより)さん(12)は「出来上がった時の色や模様を見るのが楽しみ。ありがとうという気持ちを込めて渡したい」。藤沢さんは「作品を見るたびに通学路の風景が心に浮かぶ。子どもたちにも先生にも良い思い出になるはず」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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