伊那市東部中学校生徒会は15日、同市高遠町に名所があるタカトオコヒガンザクラの苗木2本を仙台市高砂中学校に贈った。沿岸部に近い高砂中は東日本大震災で津波に遭い、敷地の桜は塩害で咲かなくなって伐採された。東部中生徒会は高砂中を訪ねた教員から状況を聞き「復興のシンボルにしてもらいたい」と苗木の移植を計画、実現させた。 仙台市内全189小中学校が一斉に集会などを開く「故郷(ふるさと)復興プロジェクト」の本年度第3回に合わせて贈呈した。苗木は高さ約2メートル。東部中の生徒会役員やPTAなどの16人がこの日早朝、同校を出発して運んだ。高砂中では、かつて桜のあった付近に穴を掘って苗木を入れ、両校生徒らが2人ずつスコップで根元に土をかぶせた。 東部中生徒会は高砂中に桜の苗木を贈り、その成長や復興の状況を知る集会などで交流を図る「さくらプロジェクト」を企画。6月の全校集会では「相手の迷惑にならないか」といった声が上がったため、高砂中生徒会に手紙を送って同意を得て、あらためて9月に全校で取り組むことを決めた。苗木は生徒らが伊那市に直談判し提供を受けた。 東部中生徒会長の池上佳吾君(15)は「距離を感じさせないほどの強い絆ができるように思いを込めた」。高砂中生徒会長の喜早(きそう)太一君(14)は「復興へさらなる一歩を踏み出せるよう、大切に育てたい」とあいさつした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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