28日午前6時ごろ、埴科郡坂城町南条の辻出恵英(しげひろ)さん(71)方から火が出ていると、近所の女性から119番通報があった。火は約2時間後に消し止められたが、木造2階建て住宅約147平方メートルを全焼し、焼け跡から2人の遺体が見つかった。 千曲署によると、辻出さんと妻のトシさん(82)の行方が分かっていない。同署は、遺体は辻出さん夫婦の可能性があるとみて、身元と出火原因を調べている。 同署や千曲坂城消防本部によると、辻出さんはトシさんと2人暮らし。遺体はともに1階から発見された。隣接する民家に延焼し、壁などを一部焼いた。 現場は国道18号から東側に約600メートル入った住宅地。 ◇◇◇ 「助けて―」。埴科郡坂城町南条で住宅が全焼した28日早朝の火災。現場は高い火柱が上がり、火の粉が舞った。近所の住民らが集まり、一時騒然とした。2人の遺体が見つかったが、家人の辻出さん夫婦の行方は分かっておらず、住民らは心配そうに焼け跡を見つめた。 いち早く火事に気が付いたのは、隣に住む師田和幸さん(74)の家族。和幸さんの息子の賢一さん(43)が飛び出し、戸をたたくなどして救助を試みた。「助けて」という声が聞こえたが、火の勢いが強まり、近づけなくなった。 「(辻出さん宅は)火で真っ赤になり、火柱がすごかった」と和幸さん。妻のはま子さん(69)は「火が噴き出し、見る見る広がった。どうしようもなかった」。 辻出恵英さんの弟で、近くに住む辻出平夫さん(69)によると、恵英さんは歩く際につえが必要という。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧