厚生労働省は28日、アスベスト(石綿)による健康被害で2011年度に労災認定を受けたり、特別遺族給付金の支給対象になったりした人が働いていた1005事業場のうち、936事業場名や住所を公表した。このうち初めて公表されたのは697事業場。非公表だった69事業場は、建設業の個人事業主(一人親方)や特定できなかった事業場。 長野県で労災認定されたのは、11事業場の11人。このうち7人は、石綿を含む建材などが使われた建設現場で作業経験があり、肺がんと中皮腫が各3人、びまん性胸膜肥厚が1人。残りの4人はボイラー室などでの作業経験があり、肺がん2人、中皮腫と石綿肺各1人。他に1人(肺がん)が、死亡から5年たって労災保険給付の訴求時効が過ぎた場合に支給される特別遺族給付金の支給対象となった=表。 昭和電工IR・広報室(東京)によると、昭和電工大町工場(現大町事業所)で労災認定されたのは80代男性で、中皮腫により死亡した。製造部門に勤務し、昭和50年代に定年退職。在職中に石綿が疑われる病気にかかった記録はないといい、同室は「どんな形でアスベストに触れたのかは分からない」とした。 同工場内の施設には、耐火建材や排熱ダクトのつなぎ目のパッキンなどにアスベストを含む部品が使われており、2005年ごろから設備更新の度に交換しているとした。 厚労省は29、30の両日午前10時から午後5時まで、公表情報への問い合わせや労災の相談を受け付ける(電話03・3595・3402)。 被害者を支援する民間団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」も29、30の両日、午前9時から午後5時まで電話相談を受け付ける(電話03・5627・6007)。(長野県、信濃毎日新聞社)
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