長野市に事務局がある日本ヴァイオリン文化芸術振興財団(中沢宗幸代表理事)が、東日本大震災の津波で被災した岩手県陸前高田市の景勝地、高田松原の松の倒木で作った表札を、長野県内で販売する。収益の一部は、長野市の善光寺が陸前高田市の住民と協力して同じ倒木で作った地蔵菩薩(ぼさつ)像を納める地蔵堂の建立費に充てる計画だ。 表札を作ったのは陸前高田市の製材業者で、住民有志の「陸前高田お地蔵制作に協力する会」副会長として、地蔵制作にも関わった村上富夫さん(64)。同市の普門寺に親子の地蔵4体のうち3体を安置(1体は善光寺に安置)する地蔵堂の建立のため、募金活動にも取り組んでいる。 一方で村上さんは今春から、同市建設業協会の依頼でがれきの中からより分けた高田松原の倒木を表札約7600枚に加工。同協会が市に寄贈し、市内各世帯に無償で配る事業に携わっている。倒木はいまも大型トラック5台分ほど残っているといい、村上さんと面識がある同財団事務局スタッフが、長野県内での販売を提案した。 表札は縦24・5センチ、横9・5センチ、厚さ3・5センチ。表面には津波の被害から唯一残った「奇跡の一本松」、裏面には親子地蔵の焼き印を押した。「多くの人に手に取ってほしい」と村上さん。正目は8千円、板目は5千円。問い合わせは財団事務局(電話090・3142・4820)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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