消費税率引き上げに6割が否定的で、国内の原発は「ゆっくり減らすべきだ」が過半数―。市民団体「模擬選挙推進ネットワーク」(事務局・東京)が、初の「10代の世論調査」をまとめたところ、このような結果になった。ただ、4割は政治に「関心がない」と回答。同ネットと「模擬投票」に取り組む県内の学校現場からは、将来の主権者として意識を高める取り組みが必要―との声が出ている。 調査は、連携する教員らの協力を得て用紙を配り、消費税増税関連法案採決前の5~6月に実施。東京、埼玉など6都府県の中学、高校生ら計1999人から回答を得た。長野県内からの回答はない。 結果によると、消費税率引き上げは「賛成しない」「あまり賛成しない」が計58・2%で、「賛成」「少し賛成」は計23・7%。原発は「ゆっくりと減らすべきだ」が51・5%と最多で、「再稼働し、現状を維持すべきだ」18・3%、「分からない」13・6%、「すぐに減らし、早く全廃させるべきだ」13・3%、「増やすべきだ」3・2%と続いた。 国内政治への関心は「ない」「あまりない」が計44・9%で、「ある」「少しある」を7・8ポイント上回った。 総務省によると、2009年の前回衆院選小選挙区の全国投票率は69・28%(県内は75・67%)で、抽出調査に基づく20代は49・45%。同ネットの林大介事務局長も加わった「主権者教育」のための同省の研究会(座長・佐々木毅学習院大教授)は昨年12月、子どもたちの政治的な判断能力の向上に向け、模擬投票など、政治や社会の問題について情報を集め、考察を深める訓練が必要―と提言した。 衆院選などに合わせ模擬投票に取り組んできた田川高校(塩尻市)の有賀久雄教諭は「自分たちが権利の主体なんだと実感するには、政治(に触れる機会)に意識的に取り組んでもらう必要がある」。担当の「現代社会」では夏休み中、新聞の朝刊1面の見出しを書き出す宿題も出した。 林事務局長は「子どもたちから声を聞く場をつくらなければ、声を発することがないまま(政治との関わりを)諦めてしまう」と主張。調査は年2回行い、模擬投票を行ったことと政治的関心への変化も探りたいという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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