災害に強い山造りに取り組む伊那市西春近諏訪形の住民らが19日、根を深く張らせる「保育ブロック」で育てた広葉樹の苗約130本を、区内の貝付沢(かいつけさわ)に植えた。ブロックは、肥料と土を固めて縦穴を開けた中に種を入れ、根を垂直方向に誘導する。同様に育てたクヌギ約30本を7月に植えており、その多くが順調に成長していることも確かめた。 貝付沢は2006年の豪雨災害で土砂が流出。住民でつくる「諏訪形区を災害から守る委員会」が、08年から広葉樹の苗を植えている。鳥獣に食べられたり、雨による土砂崩落で流されたりすることがないよう、山寺喜成・元信大農学部教授の指導を受け、根の活着が良い保育ブロックを本年度から導入した。 苗は、同委員会が高さ18センチのブロックを使い、専用の農地で育てた。この日は12人が作業に参加。高さ約60センチのケヤキ、モミジの苗を約2メートル間隔で、肥料と一緒に砂地の斜面に植え付けた。7月に保育ブロックで植えたクヌギは数本が枯れており、猿に掘り起こされたとみられる。 酒井久委員長(67)は「普通の苗木より鳥獣被害を受けにくい効果も確認できた。試行錯誤だったので成長が楽しみだ」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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