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多様化する生徒たち 公立高校定時制が様変わり

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 県内の公立高校定時制に通う生徒が様変わりしている。かつては、中退をした人が学び直したり、日中働いて学費を稼ぎながら学んだりする生徒を受け入れてきたが、近年は不登校経験者や発達障害の生徒も増えている。定時制に通学する理由が多様化する中、これまで以上に、卒業後の進路・就職指導に力を入れ始めた学校も出てきている。  南信地方の県立高校定時制では21日まで1週間、4年生が担任教諭との二者面談をした。4年生15人のうち、卒業後の就職が決まっているのは家業を手伝う生徒を含めて3人。他に2人の進学が決まっている。同学年では不登校を経験したり、発達障害の診断を受けた生徒が全体の3分の1を占め、進路について生徒自身が決めかねているケースもあるという。  担任の男性教諭(57)は同校に勤務して10年目。赴任当初は「威勢のいい生徒」が多く、不登校経験者は学年に1、2人程度。日中は製造業で働き、卒業後もそのまま同じ会社に勤める生徒が半分ほどいた。「就職指導に力を入れなくても進路は大体決まった」と振り返る。  この教諭は、最近増えている発達障害や不登校を経験した生徒にとって毎日学校に通い同級生と学校生活を送ること自体が「成長」と受け止める。「ようやく歩み出した生徒に、進学や就職をうるさく迫ってもいい結果にならない」と思う。ただ、一方で、進路が決まらないまま卒業させてもいいのか―と、指導に迷いもあると話す。  県教委によると、本年度8月末時点で発達障害と診断されたり、複数の教員が特別な支援が必要と判断した公立高校定時制の生徒は計478人に上る。定時制の総生徒数の21・5%を占め、統計を取り始めた2007年度以降、増え続けている。定時制の教員らによると、人間関係でつまずいたり、大人数の授業にはなじみにくいといった理由で定時制を選ぶ生徒もいるという。  一方、就職環境は厳しい。ことし10月末現在の就職内定率は、全日制が70・1%で前年度同期と変わらなかったものの、定時制は33・2%で前年同期比14・2ポイント低下した。  「非正規雇用」  11月中旬、赤穂高校(駒ケ根市)。定時制1年生の国語の授業で、宮下与兵衛(よへえ)教諭(59)は10人ほどの生徒を前に、黒板にこう板書。「非正規雇用だと解雇されやすい。だが、現状は非正規雇用から正規雇用になるのは難しい」などと、生徒たちに説明を続けた。  国語の授業だが、扱った文学作品などに関連づけては、就職について話すという。同教諭は「正社員と非正規労働者の生涯賃金の違いや労働者の権利などを教えることで、働くということへの意識を高めていってもらいたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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