県は2013年度、飲食店や宿泊施設などで出る残飯といった食品廃棄物を農産物向けの堆肥や家畜の飼料として地域の生産者が使い、できた野菜や肉などを産品として流通させる資源循環の仕組みづくりの検討を始める。食品廃棄物を減らしてごみ減量につなげる。温泉旅館などが多い観光地を抱える市町村や広域圏単位で試行し、軌道に乗れば全県に広げる構想だ。 県廃棄物対策課によると、小売業や外食産業など流通の段階が進むほど、消費期限や分別の難しさからリサイクルは進んでいない。そこで「食品リサイクルループ(輪)」と銘打つ資源循環の仕組みを検討する。 市町村や広域圏単位を「循環エリア」とし、飲食店などから出る食品廃棄物を堆肥化・飼料化を手掛ける業者が処理。この堆肥や飼料を地元生産者が使うことで地元産の野菜や畜産物として再生させ、再び飲食店や宿泊施設などで提供するイメージだ。 13年度は飲食店など排出事業者や堆肥化業者、生産者らに取り組みの意義を訴える講演会や課題を洗い出す意見交換会を開催。14年度には地域ごとの研究会で制度設計を進め、15年度に試行する予定。 廃棄物対策課は「どれだけの食品廃棄物を確保できるかや需要の有無など課題はあるが、県内には宿泊施設を抱える観光地も多い。資源を地域で循環させる仕組みを作っていきたい」としている。 同課によると、県内には市町村運営の生ごみリサイクル施設が複数あるが、できた堆肥を地元農家に提供するルートを確立している―など明確な資源循環を打ち出している事例は把握していないという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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