コンデンサー大手のニチコン(京都市)が、3月末で閉鎖するとしていた完全子会社・ニチコン長野(安曇野市豊科)の工場を、グループ会社のニチコン大野(福井県大野市)の製造拠点として存続させる方針を決めたことが9日、分かった。ニチコンは、顧客サービスの継続や地域の雇用維持の観点から判断したと説明。これにより、ニチコン長野の従業員約280人の雇用は、一部を除いて現工場で継続される見通しになった。 ニチコンは昨年11月、世界的な景気減速による業績悪化を受け、ニチコン長野を閉鎖して開発部門をニチコン大野に統合し、製造部門は同社と海外のグループ会社に移転すると発表していた。 方針変更についてニチコンIR室は「長野の工場が積み上げてきたノウハウや顧客との関係、地域の雇用への影響を考慮した」と説明。法人としてのニチコン長野は3月末で清算し、開発機能とパソコンや携帯電話など向けの電気二重層コンデンサーの製造は福井に移すが、エアコンや産業機械向けの大型アルミ電解コンデンサーの製造は安曇野市で続ける。輸出向けなど製造部門の一部は海外に移す。 同市の工場で雇用を継続する従業員数は「精査中」(IR室)としているが、大半は4月以降も残る見通し。松本公共職業安定所の担当者は「県外への転籍が難しい人など、多くの離職者が出るのではないかと懸念していたが、工場が残って良かった」と受け止める。同市商工労政課も「地元の雇用が守られ、ひとまず安心した」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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