伊那市は9日、市内での地下水などの採取の規制強化に向け、市環境保全条例を改正する方針を市環境審議会で明らかにした。地下水などを生活や農工業のための「水資源」と位置付け、「地域共有の財産」とする改正素案を公表。取水により周辺の地下水位低下などがあった場合は改善を勧告、命令でき、取水停止も命じられるとした。 伊那市を含む上伊那8市町村などは昨年3月、外国資本などによる水源付近の森林買収を念頭に、地下水などの保全を掲げる共同声明を発表した。上伊那郡箕輪町や、同様の声明を出している佐久地方の北佐久郡立科町、佐久市などが地下水を対象に採取を許可制などで規制しているが、伊那市は表流水や湧き水も適用対象とする方針だ。 改正素案は罰則を盛っておらず、同審議会で市は規定するべきか協議を要請。取水停止命令についても「非常に強い措置」として是非を尋ねた。委員からは「困った時に手を打てるようにしておくべきだ」との意見があり、同審議会は取水停止命令の規定を了承。罰則規定の追加も求めることで一致した。 市はこれらを踏まえた条例改正案を市議会3月定例会に提出、4月施行を目指す。現行条例は一定規模以上のポンプで地下水を採る場合、市の許可を得るよう定めている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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