山岳会に所属せず、登山ツアーやガイドも利用しない「未組織登山者」の遭難が多いことを受け、県は2013年度、未組織登山者に狙いを定めた遭難防止対策に乗り出す。都市部の登山用品店で安全登山を呼び掛けるDVDを放映したり、店側が主催する登山講習会に講師を派遣したりして、基礎知識を提供する。登山者が多い夏山シーズンには間に合わせたい考えだ。 かつては大学山岳部や社会人山岳会などで技術を学びながら登山する人が多かった。しかし規律や拘束の多さを敬遠する風潮が強まり、近年の「山ガール」に代表される登山人気もあって未組織登山者が増えているとされる。 県警地域課によると、県内の遭難件数・人数は11年、227件・251人で過去最多。11年まで5年間の遭難者に占める未組織登山者の割合は8割前後で推移している。同課は「未組織登山者にも経験豊富な人はいるが、基本的な知識が身に付いていない人が多い」とする。 県は対策として、北アルプスなど県内山岳の登山に必要な装備や、早い時間に歩き出して早めに目的地に到着するといった安全の心得を盛り込んだDVDを作り、首都圏や名古屋、大阪など大都市の登山用品店に放映を依頼する。店側が開く講習会に遭難の実情に詳しい救助関係者を派遣して注意喚起することも検討。既に複数の大手登山用品店に協力を求めている。 対策を担当する県教委スポーツ課の原一樹課長は「山岳団体などを通じて遭難防止を呼び掛けてきたが、未組織登山者には届きにくかった。登山用品店の協力も得て取り組みたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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