下伊那郡阿南町新野(にいの)の伊豆神社に伝わる「新野の雪祭り」(国重要無形民俗文化財)が14、15日に迫る中、飯田女子短大(飯田市)家政学科生活造形コースの講師、青木千恵美さん(47)がフジのつるを原料にした「藤織り」による衣装の制作に励んでいる。新野では藤織りが既に廃れており、藤織りの新たな衣装を作れない状態が続いている。青木さんは年内にも一部を完成させたいとしている。 新野雪祭り保存会によると、藤織りの衣装ははんてんと肩から掛ける袋、襟巻きの3点。はんてんの裏地に記された年代から、1787(天明7)年に作られたとみられている。 同保存会から衣装制作を依頼された青木さんは京都府宮津市や京都市にも出向いて藤織りを研究。同市の織物会社に祭りの衣装の一部を分析してもらったところ、マメ科の落葉低木スオウが染料として使われていた可能性があることが分かった。 昨年2月、フジのつるの皮の繊維から作った糸をスオウで染めたところ、祭りの衣装に近い赤褐色が出た。 青木さんは保存会員と一緒に新野でフジのつるを集めているが、まだ量が足りないという。ことし5月に再び同地区で採集を進め、衣装作りに必要な量を確保する予定だ。 青木さんは「作業一つ一つに歴史の重みを感じる。地域の伝統文化を支えるためにも早く完成させたい」と話す。ことし中に袋と襟巻きを完成させるのが目標だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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