伊那市高遠町の飲食店やそば打ち愛好者らでつくる「高遠そば組合」は大寒の20日、江戸時代に高遠藩が将軍へ献上したとされる「寒ざらしそば」の復活に向け、玄(げん)ソバ(ソバの実)を地元の沢に浸す仕込み作業をした。高遠では10年ぶりの再挑戦。特産化を探り、夏場の誘客に生かしたい考えだ。 組合員ら4人が、約300食分に当たる45キロを網袋に分け、沢の流れに入れてロープで固定した。節分の2月3日に引き上げ、2カ月間ほど天日にさらして保管。随時製粉し、そばを試作する。 同組合によると、寒ざらしそばは、ソバの実を厳寒期の清流に浸し、天日と寒風で乾燥させることで、あくが抜けて甘みが増す上、風味を落とさずに夏まで保存できるようになるという。飯島進組合長は「冷蔵庫がない時代に、どうしたらおいしく食べられるかを考えた先人の知恵。素晴らしい食文化が途切れないようにしたい」と話した。 合併前の旧高遠町などが2003年まで3年間、商品化を模索。乾麺にしたため人気が出なかったことなどから休止していた。地域にそば店が増えてきた一方、観桜期や新そばの時期を除くと客足は伸び悩んでおり、あらためて取り組むことにした。寒ざらしそばは茅野市、上田市などでも特産化に向けた取り組みが進められている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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