諏訪市博物館は20日、同市出身の考古学者、藤森栄一(1911~73年)の孫で南佐久郡北相木村考古博物館学芸員の藤森英二さん(40)=南佐久郡小海町=の講演会を、市博物館で開いた。祖父と同じ縄文時代を専門分野とする英二さんが「縄文時代研究の可能性」と題して、八ケ岳山麓などから出土した土器について解説。約70人が耳を傾けた。 藤森栄一が収集し、市博物館が所蔵する約6万点の考古資料が昨年9月、国の登録有形文化財になったのを記念して開催した。英二さんは栄一の次女節子さんの次男。生後間もなく他界した祖父については「記憶が全くない」が、諏訪地方はよく訪れたという。 講演では、考古学を専攻した大学生時代に「魅せられた」という熊久保遺跡(東筑摩郡朝日村)出土の「蛇体(じゃたい)装飾把手(とって)土器」について、学芸員になってからの研究成果を紹介。山梨県などに分布する似た形状の土器を調べた結果、多くに八ケ岳周辺の鉱物が含まれており、「八ケ岳近くから各地に広がったのではないか」との仮説を披露した。 貴重な遺跡が残る八ケ岳周辺の研究を進めるためにも、「八ケ岳の縄文をキーワードに研究者が手を取り合う必要がある」と呼び掛けた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧